日本は主権国家か

安全保障

本日、4月28日は主権回復の日とされています。
すなわち、戦後に締結したサンフランシスコ条約が発効し、日本はGHQによる占領から開放され、主権を回復したとされる日です。
Wikipediaでは、「主権回復の日」は以下のように説明されています。

1952年(昭和27年)4月28日に、日本国との平和条約(サンフランシスコ平和条約)が発効し、第二次世界大戦終結(日本の降伏)の1945年(昭和20年)9月2日以降、連合国軍占領下により停止状態にあった日本の主権が回復した日付に基づく。

いわゆる「記念日」ないし「国民の祝日」ではないため、カレンダーには掲載されていない。

日本の完全な主権回復と国際社会復帰60年の節目を記念するための日本政府主催の記念式典「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」を開催することが、2013年3月12日に第2次安倍内閣において閣議決定され、2013年4月28日に憲政記念館で行われた。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%BB%E6%A8%A9%E5%9B%9E%E5%BE%A9%E3%81%AE%E6%97%A5

しかしながら、主権回復日から72年を経た今日、はたして日本は主権を回復しているのかと、首を傾げたくなる状況下にあると言わざるを得ません。
その一つとして、例えば国連憲章には、第二次世界大戦中に連合国の敵国であった国々を特別扱いする条項が存在します。
これらの条項は「旧敵国条項」と呼ばれ、主に以下の2つがあります。

第53条: 地域的機関が安全保障理事会の許可を得ずに、旧敵国に対して強制行動を取ることができる。
第107条: 旧敵国が国連の行動に違反した場合、安全保障理事会は直ちに平和維持行動を実施することができる。

この旧敵国条項は、第二次世界大戦後の国際平和維持を目的として設けられました。
当時、連合国は旧敵国の再軍備や侵略行為を懸念しており、これらの条項によって安全保障を強化しようとしました。
旧敵国条項は、主権平等の原則や国際社会の公平性といった観点から問題視されたため、1995年の国連総会決議で「死文化している」と宣言されました。
しかし、憲章から削除するためには、加盟国の3分の2以上の賛成と、常任理事国5カ国全ての批准が必要です。
現在も削除に向けた議論は続いていますが、実現には至っていません。
日本は旧敵国条項の対象国の一つでしたが、1956年に国連に加盟しました。
現在の日本には、改憲して自衛隊を軍隊にすべきだ、とか、核を保有すべきだなどの主張も聞かれますが、敵国条項をこのまま放置して、日本が軍備を増強するようなことがあれば、連合国軍に強制措置の口実を与えることになりかねません。

また、日本に主権がないことを示す二つ目の事例として、日米合同委員会があります。
日本の官僚と在日米軍の軍人からなるこの組織の詳細は謎に包まれていますが、何十年にもわたって、日米地位協定の解釈や運用について人知れず協議を重ね、米軍の特権を維持するために数知れぬ秘密の合意を生み出していると言われています。
しかもそれらの密約は、日本国憲法にもとづく日本の国内法(憲法体系)を無視して、米軍に治外法権に等しい特権を与えているのです。
日本国内にいくつもの米軍基地があり、また日本の空には、横田空域と呼ばれる我が国の飛行機が飛べない空域があることは、明らかな主権の侵害と言えます。
安全保障政策だけでなく、経済政策も社会政策も、日本国民に主権があるのかと言えば、恐らくないという方が正しいでしょう。
そして、日本国民のほとんどがそれを当然のこととして受け入れ、疑問に思うことさえなくなっていることが、何よりの問題であるとも言えます。
私たちは見せかけの国家体制ではなく、日本を真の独立国にしたいと願っています。
その観点から、この日を主権回復の日とするのは、事の本質から思考を遠ざけてしまうのではないかと危惧します。