神道と神社(1)

伝承・伝統・文化

神道では八百万(やおよろず)の神さまがいらっしゃるとされています。
八百万というのは800万という具体的数値ではなく、「とても数が多い」という意味です。

数え方によって異なりますが、日本には8万以上の神社があり、しばしば5万ほどのコンビニエンスストアよりも数が多いと紹介されています。
神社にはさまざまな種類があり、分類の仕方、数え方もさまざまありますが、今回は、その神さまを主祭神としている神社の数が多い順に、いくつかに触れてみたいと思います。

1.お稲荷さま(分社数約32,000)

伏見稲荷

主祭神は宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)という女性神で、五穀をはじめ一切の食物を司り、生命の根源を司る「いのち」の根の神さまです。「稲が生る=いなり」が語源です。
日本に当時の最新技術をもたらした渡来人の秦氏が氏神として祭った神様であり、稲作を営んできた日本の土着の信仰と融合して定着し、江戸時代に広まりました。
お稲荷様には狐の像がつきものですが、神さまではなく神使です。
また、お稲荷さまには神社系(総本社:伏見稲荷大社)と仏教系(総本山:曹洞宗豊川稲荷)があります。

豊川稲荷

2.八幡さま(分社数約25,000)

宇佐八幡(宇佐神宮)

神社本庁の調査では八幡系ということで調査すると最も多い神社とされています。
主祭神は第15代応神天皇(誉田別命)です。
渡来人を用いて国家を発展させ、頻繁に巡行し、領地の視察や婚姻による新たな氏族と繋がるなど武勇伝が多く、軍神八幡神として信仰されました。
また、母親の神功皇后は神託を受けて出兵し、新羅を征し、百済(くだら)、高句麗(こうくり)の三韓を帰服させた「三韓征伐」を成し遂げました。そのことから、女神でありながら武神としての性格を持ち、母子神信仰、神仏習合的な女神として聖母大菩薩とも呼ばれ、八幡信仰とともに全国的に広まりました。

3.お伊勢さま(分社数約18,000)

伊勢神宮内宮

伊勢神宮(正式名称:神宮)の内宮が総本社です。
主祭神は、言わずと知れた八百万の神々で最高位に位置しているのが天照大神です。太陽を司る女性神である天照大神は皇室のご先祖にあたり、日本人の総氏神様でもあります。
全国では、皇太神社、神明神社、天祖神社で天照大神を祀っています。

参拝の目的

今回は「ご利益」にはあえて触れませんでした。
神社へのお参りというと、お願い事をしに行くイメージがありますが、神社に参拝する目的は

  1. 日々見守ってくださる神様へ感謝の祈りを捧げるため
  2. 穢れを祓い清めるため
  3. 今後の幸せや叶えたいことを祈願するため

の順であり、ご利益は目的の3番目です。
神社参拝の際には、感謝の気持ちを伝えるために、という思いで訪れるようにしたいと思いました。