東風解凍(とうふうこおりをとく)

伝承・伝統・文化

今日は二十四節気の一節気、立春ですね。
暦の上で春が始まる日です。
旧暦では立春に近い新月の日を元日としていました。
寒が明けて徐々に春の兆しが見え始め、一年のスタートでもある立春。
以降、最初に吹く南寄りの強い風を「春一番」、立春後も続く寒さを「余寒」「春寒」などといいます。
立春の日に恵方の井戸から汲んだ水は若水と呼ばれ、一年の邪気を除くものとされてきました。
のちに若水は元日の早朝に汲む水となり、神棚に備えてから飲食に利用する習俗が残されています。
さて、なぜ厳寒の時期に「春立つ」なのかと思われたことはないでしょうか。
これは、古代中国の陰陽五行思想では「陽極まって陰に転じ、陰極まって陽に転ず」という考え方があるからだそうです。
すなわち「寒さも極まると暖かさに転じる」という連想から、寒さのピークこそ春の始まりだと考えられたためです。
立春は同時に七十二候の第一候「東風解凍」の始まりです。
東風とは春風のことで、「東風解凍」とは春風が吹いて解け始めるという意味です。
東からの暖かい春風が吹き、池や湖に張りつめた厚い氷を溶かし出す時季。
中国における陰陽五行の思想から、春は東から訪れると信じられていました。