神社参拝・・・本当は三礼三拍手一礼?

伝承・伝統・文化

いつの頃からかパワースポットという言葉をよく聞くようになりました。
日本でパワースポットと言えば、 多くの人が真っ先に神社をイメージすると思います。
数年前から御朱印集めもブームになっています。

現在、 神社を参拝する際は「二礼二拍手一礼」が一般的となっています。
出雲大社など一部の神社では「二礼四拍手一礼」としているところもありますが、神社の多くでは「二礼二拍手一礼」が作法だと説明しています。

これに対し、「三礼三拍手一礼」が正しい作法だとする説があります。
理由は、三という割れない数字に意味があるからだとのことです。

また、 古事記において最初に出て来る三柱の神様に向けて行うので、三礼三拍手が真の参拝方法だとしています。
三柱の神とはすなわち、
1.天之御中主 (アメノミナカヌシ)
2.高御産巣日神 (タカミムスヒノカミ)
3.神産日神 (カミムスヒノカミ)
のことです。

この他にも次のような説明がなされています。
・神社の参道は三柱の神々に至る道筋=三道 である。
・おむすびが三角形なのも高皇産霊神(タカミムスヒノカミ)、神皇産霊神(カミムスヒノカミ)の「むすび」に由来。
・女性の三つ指も三柱の神々を両手で示す所作。
・正月に飾る門松はその所作を三本の竹の束で示すもの。

「二礼二拍手一礼」はもともと神職の作法で、玉串奉奠(玉串を捧げる行為)に伴うものであり、三拍手は神界が開くのに対し、二拍手では閉じるので神に伝わらず、それにより「日本人の目覚め」を阻止しているとの主張も聞かれます。

その一方で、
・作法に気を取られるあまり、気持ちがこもらなくなったのでは意味がない。
・お参りする際の作法には厳格な決まりはない。
・作法を指導する側が正しい作法というものを指導することによって、自分たちの権威を示そうとしてきただけなのではないか。
という主張も見られます。

「二礼二拍手一礼」は実は明治新政府になった際の「神道復古運動」に伴うもので、昭和23年に内務省が編纂した「神社祭式行事作法」に「二礼二拍手一礼」と記載され、普及していったようです。
4、50年ほど前は「二礼二拍手一礼」が作法だと教えられたことはなく、平成の時代になってから、著名人などが口にするようになり普及したという印象があります。

「氣」が「気」になり、
「新嘗祭」が「勤労感謝の日」になり、
「体育の日」が10月10日からハッピーマンデーに変わり、挙げ句に「スポーツの日」になり・・・
というように、ことばも物事も本来の意味を失っていく経緯を見ると、単純に「自分たちの権威を示そうとしてきただけ」とは言い切れない背景があるのかもしれないと感じます。

どちらが正しいのか、本当のところは分かりませんが、ただ、神社では心身を清めてご神前に進みます。
人として常に誠実に、凛として、日々を過ごしていきたいと思います。