【第4回】ワクチンロットによる差異と日本の超過死亡 – 浜松市のデータと全国の傾向を探る

雑記

浜松市における新型コロナワクチン接種後死亡データの客観的分析」解説シリーズ第4回。今回は、よりミクロな視点である「ワクチンロット」と、マクロな視点である「日本全体の超過死亡」という、2つのテーマからデータを考察します。

ワクチンロットによる違いはあったのか?

ワクチンは「ロット」と呼ばれる製造単位で管理されています。もし特定のロットに問題があれば、そのロットを接種した人に健康被害が集中する可能性があります。そこで、ロットごとに接種後の死亡者数を集計したところ、データ上は一部のロットに死亡例が集中する傾向が見られました。

例えば、報告書P.25のデータを見ると、5回目の最終接種後に亡くなった方のうち、「GJ5751」という一つのロットだけで2,017人もの死亡が報告されており、他のロットと比較して突出していることが分かります。

ただし、この問題には注意が必要です。そもそも、たくさん使われたロットであれば、それに伴って死亡報告数も多くなる可能性があります。実際に、死亡者数が多かったロットは、浜松市で非常に多く接種に使われたロットでもありました。

そのため、本報告書ではP.7で「全体的には大きな偏りは見られないものの、一部のロットにおいて他と比較して高い死亡件数が報告されている例が見られました」と慎重な表現をしています。そして、「この傾向が偶然によるものか、因果的な要素を含むかについては、さらなる解析が必要である」と結論付けています。

つまり、「特定のロットで死亡が集中している」という事実はデータから読み取れるものの、それが「そのロットが他のロットより危険だった」ことを直接意味するかどうかは、この分析だけでは断定できない、ということです。本当にロットの危険性に差があるのかを判断するには、ロットごとの「死亡率(死亡者数 ÷ 接種者数)」を算出するなどの、より詳細な分析が待たれます。

浜松市のデータと、日本全体の「超過死亡」

次に、視点を日本全体に移してみましょう。下のグラフは、日本の年間死亡者数の推移を示したものです。

グラフを見ると、2020年までは緩やかな増加傾向でしたが、ワクチン接種が始まった2021年から死亡者数が急増していることが分かります。

  • 2021年: 前年比で約6.7万人増加
  • 2022年: 前年比で約13万人増加

2022年以降の増加ペースは、コロナ禍以前のペースを年間で約14万人も上回っています。これは統計的に「超過死亡」と呼ばれる状態で、まさに異常事態です。
政府は新型コロナによる死亡(グラフのオレンジ部分)を理由の一つに挙げていますが、その数を差し引いても、説明のつかない膨大な数の死者がいることが分かります。

ここで、前回の分析結果を思い出してください。浜松市のデータでは、接種者の死亡率は非接種者より9.2%高いという結果でした。
一方、日本全体で見た場合、2022年の超過死亡は約14万人で、これは2019年比で9.3%の増加に相当します。
地域(浜松市)のミクロな分析で示された死亡率の増加率(9.2%)と、国(日本)全体のマクロな超過死亡の増加率(9.3%)が、偶然にもほぼ一致したのです。

これは、浜松市で見られた現象が、日本全体で起きている現象の縮図である可能性を強く示唆しています。

最終回となる次回は、これまでの分析を総括し、アメリカとの比較データも交えながら、私たちの提言をお伝えします。

第5回に続く)

本記事は、志氣友学舎による市民研究報告の一部です。
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