拉致被害者救出署名活動に参加して

活動報告

令和7年3月1日(土)、春の陽気が心地よく感じられる午後、浜松駅前に立ちました。
浜松ブルーリポンの会主催の拉致被害者救出署名活動に参加するためです。
同会のこの活動は今年で19年目を迎えたそうです。

駅前では様々な日常の光景が広がっていました。
私立高校の卒業式を終えたばかりの学生たちが、晴れやかな表情で行き交います。
制服にリボンをつけ、卒業証書をカバンに入れ、友人たちと楽しそうに語り合って歩き過ぎて行きました。
また、この日はポケモンGOの特別イベント日でもあったようです。
老若男女問わず、多くの人々がスマートフォンを片手に歩き回り、仮想の世界を楽しんでいました。
行き交う人々の表情は明るく、自由に選んだ娯楽に興じることができる幸せを何気なく享受しています。

そのような中、自転車に乗った小学生くらいの男の子が自転車から降りて、恥ずかしそうに
「500円玉を100円玉に替えてくれますか?」
と尋ねてきました。
自動販売機か何かで必要なのかな?と思いつつ、100円玉5個と替えてあげると、その子は
「募金は100円でもいいですか?」
と言って、替えたばかりの100円玉を募金箱に入れてくれました。

子供だから署名はちょっとできないけど、お小遣いの中から100円くらいなら募金はできるかな。
でも、500円玉しかないなぁ、どうしようかなぁ。

小さな胸のうちでそんなふうに葛藤しながら声をかけてくれたのかと思います。
困っている人の少しでも役に立ちたいという少年の純粋な思いに触れ、本当にうれしくなりました。

先日、拉致被害者の有本恵子さんのお父さまの有本明弘さんがお亡くなりになったという残念なニュースがありました。
横田めぐみさんのお父さまの横田滋さんがお亡くなりになった時もそうですが、長い間の懸命な活動にも関わらず、娘に会えずに旅立たれたその無念さを思うと、申し訳ない気持ちになります。

なぜこの問題が長年解決しないのか。
その理由の一つに、日本社会では真実が十分に語られていないことがあると思います。
拉致問題の実態や深刻さが、日常を生きる多くの人々に届いていない。
あるいは知っていても、「自分には関係ない」と遠い問題として捉えられています。

純粋な思いで募金してくれた少年の行動は、私たちに希望を与えてくれました。
新しい世代にもこの問題を知ってもらい、関心を持ち続けてもらうことが、解決への道につながると信じています。
私たちの日常は移り変わり、季節は巡ります。
卒業式の季節が来れば、新たな出会いの季節も訪れます。
しかし、拉致被害者とその家族にとって、時間は残酷なほどに流れ続けています。
有本明弘さんのように、大切な家族との再会を果たせないまま人生を終える方がこれ以上増えないように、真実を伝え続けることが大切だと思います。

令和7年3月1日(土) 浜松駅前にて