春分の日

二十四節氣と七十二候

今日は春分の日、太陽が真東から昇り、真西に沈む日です。
昼と夜の長さがほぼ同じになることから、古くから重要な日とされてきました。
古代の人々にとって、太陽は命の源であり、自然を支配する神聖な存在でした。
日の出とともに働き始め、日の入りとともに休息する生活の中で、太陽への畏敬と感謝の気持ちが自然と芽生えたのでしょう。

日本各地には、太陽を神として祀る神社が数多く存在します。
有名な例としては、伊勢神宮や天照大神を祀る神社などが挙げられます。
春分の日には、太陽の恵みに感謝し、豊作や無病息災を祈願する祭りが各地で行われていました。
二十四節氣のひとつである春分の日が祝日とされているのは、宮中祭祀の春季皇霊祭(しゅんきこうれいさい)という祭日とも重なるためです。
春季皇霊祭とは、春分の日に宮中の皇霊殿で行われる先祖を祀るお祭りのことです。
なお、宮中では、春分の日には春季皇霊祭と春季神殿祭(しゅんきしんでんさい)が行われます。
神殿で行われる春季神殿祭は、神様の恩に感謝を捧げることを目的としたお祭りです

春分の日には、もう一つの重要な意味があります。
それは、彼岸と此岸が最も通じやすい日と考えられていることです。
彼岸とは、仏教用語で「悟りの世界」を表す言葉です。
一方、此岸とは、私たちが生きている「迷いの世界」を表します。
春分の日には、太陽が真西に沈むことから、西方極楽浄土の信仰と結びついていました。
西方極楽浄土は、阿弥陀如来が住むとされる浄土であり、死者が生まれ変わるとされる場所です。
太陽が真西に沈む春分の日には、彼岸と此岸が最も通じやすくなり、死んだ祖先と繋がりやすくなると考えられていました。
そのため、春分の日には、お墓参りをして祖先供養をする習慣が生まれました。

現代では、供養やお祀り、儀式等が軽んじられる傾向にありますが、自然の恵みに感謝し、日本の伝統文化を受け継ぐ大切な日として改めて認識する必要があると感じます。

春季皇霊祭の儀(平成21年3月)宮内庁公式サイトより