2月14日~2月18日頃は、七十二候の「魚上氷(うおこおりにのぼる)」と呼ばれる時期です。
厳しい冬の寒さもようやく峠を越え、春の訪れを少しずつ感じる頃となりました。
この時期の氷を表す「薄氷(うすらい)」という言葉があります。
薄氷とは、冬の終わりから春先にかけて、水面に薄く張る氷のことを指します。
まだ完全に凍っていない不安定な氷であり、太陽の光を反射してキラキラと輝く様子は、冬の終わりと春の訪れの両方を象徴する美しい風景です。
「魚上氷」という候は、まさにこの薄氷が割れ始め、その隙間から元気な魚たちが飛び跳ねる様子を表しています。
厳しい寒さを乗り越え、生命力あふれる魚たちが活発に動き始める姿は、春の訪れを力強く告げてくれます。
一方で薄氷は、春の訪れの象徴であると同時に、儚さや繊細さをも象徴するものです。
太陽の光によって簡単に溶けてしまう薄氷は、命の尊さや時間の移ろいの速さを私たちに感じさせてくれます。
寒冷地では凍った氷に穴をあけて釣りをするワカサギ。
漢字で「公魚」と書くのは、江戸時代に常陸国麻生藩が徳川11代将軍の徳川家斉のもとへ年賀に参上する時に、霞ヶ浦のワカサギを串焼きにしたものを年貢として献上したことに由来するそうです。
2月も後半に入り、大分寒さが緩んできました。
冬の終わりと春の訪れの両方が感じられる特別な時期ですね。
普段は見落としがちな風景の中に、春の訪れがあることを五感で感じて、心身ともにリフレッシュしたいものです。