「50歳以上の男は生きる価値がない」と武田邦彦先生はしばしば言われます。
その理由として、学問的に価値が見いだせていないこと、従来の宗教で50歳以上の生きる意味について語られていないということなどが挙げられていたと思います。
50歳以上になると生きる価値がない、と言われても…、ということで50歳以上の生き方で学ぶべき人、50歳までの人生と全く違うことをして何かを成し遂げた人「伊能忠敬」に学んでみようと思いました。
伊能忠敬は「実測」による精密な日本地図を完成させた人物として知られています。
(忠敬よりも以前にかなり精密な地図をとして赤水図、幸安図が存在しましたが、それらは「考証」によるものでした。)
忠敬は「人間は夢を持ち、前へ歩き続ける限り、余生はいらない」という名言も残しています。
伊能忠敬は延享2年(1745年)、千葉県九十九里町で生まれ、17歳で佐原の名手商家である伊能家に婿入りし業績が傾きかけていた伊能家で若い忠敬は日夜懸命に働き、見事財産を増やしたと伝えられています。
佐原村名主、名主を監視する立場である村方後見(むらかたこうけん)を歴任し、水害、冷害、浅間山噴火による飢饉から村民を何度も救うという実績を残しました。
こうして村のために長年、身を粉にして働いてきた伊能忠敬でしたが、ずっと学問をしたいという夢を持ち続けていました。
50歳ときにようやく隠居が認められ、江戸で幕府天文方高橋至時(たかはしよしとき)に弟子入りし、その目覚ましい努力によって全国の測量を任され、以後、精密な地図を作っていくことになったのです。隠居の身で幕府の天文方に弟子入りできたのは、幼少期から受けた教育、成人してからも仕事の合間に暦書や天文書でずっと勉強していて、素養があったためといわれています。

足掛け17年におよぶ全国測量で忠敬が実際に歩いた距離は約3万3700㎞、毎日測量をしながら40㎞程度歩いたというのですから驚異的です。さぞかし丈夫な体だったかと言えば決してそうでもなく、持病を抱えて体が弱く、旅先で寝込むこともあったようです。
実用的な精密な地図を作ったのが伊能忠敬の功績ですが、本当の目的は忠敬が志した天文学の課題「地球の大きさを測定する」とも言われていて、忠敬が測量結果ににより算出した地球の大きさは極めて正確だったそうです。
忠敬は天才肌ではなく、ただただ本当に愚直の人でした。性格の影響も大きいと思いますが、夢を諦めず邁進した姿には勇気をもらえます。
年齢や状況を理由に、いろんなことを諦めてしまうこともありますが、忠敬のように愚直に自分の信念や好奇心に情熱を注いで生きていきたいと思いました。