「カルト化した政党」で発生した問題

学術

《物事の本質を見極め、正しく判断する力を身につけると共に、国民に気づきのきっかけとなる情報を提供する》

前回の「カルト化した政党の危険性」で「深刻な問題点」としてあげた一部である以下の内容を振り返ってみます。

(1) カルト化した政党では、指導者や教義に対する批判や異論が許されない
(2) 内部での自由な討論ができない
(3) 不正行為が見過ごされやすい
(4) 指導者や教義に都合の良い情報だけが流される
(5) 党員が誤った情報を信じ込む
(6) 外部の批判や干渉を「敵」とみなす
(7) 党内での汚職や不正が横行
(8) 暴力や脅迫を利用して反対勢力や内部の異論者を抑え込む

これらのことが具体化(実際に発生)した事例がありました。
今回はこの事例について考えてみたいと思います。

1.不正の発見~離党

公認候補者だった党員が、支部内の不正を発見し上層部に指摘したにもかかわらず、訂正などの対応がなかったことから疑念を抱き、離党しました。
不正に寛容で、おかしいと言っても解決しようとしない上層部の共犯者になってはいけないと思ったのです。
このことは、
(2) 内部での自由な討論ができない
(3) 不正行為が見過ごされやすい
(7) 党内での汚職や不正が横行
に該当すると考えられます。

2.公益性を鑑み公表

その後、離党した候補者はその時に起こったことなどをSNS投稿し公表ました。
当該政党の実態を明らかにすることは、社会的には有益なことだと判断したと述べています。

そのSNS投稿への党員、支持者の反応は攻撃的で

(1) カルト化した政党では、指導者や教義に対する批判や異論が許されない
(6) 外部の批判や干渉を「敵」とみなす
(8) 暴力や脅迫を利用して反対勢力や内部の異論者を抑え込む

にあたるものとみられる内容でした。

3.カルト化した政党の対応

また、離党者のSNS投稿に対してカルト化した政党は、SNSに反論を投稿しました。
これらは
(4) 指導者や教義に都合の良い情報だけが流される
(5) 党員が誤った情報を信じ込む
という狙いがあるとみられる内容です。

4.考察

今回は「3.カルト化した政党の対応」に絞って考えてみたいと思います。

離党した元候補者は2回にわたってSNS投稿をしました。内容は細分化すると50項目に上ります。
発見した事実、自身の気づき、自身の思い、自身の考え、自身の行動、話した相手の反応、読んだ人への呼びかけ、など様々な内容を含んでいます。

そんな離党者の投稿を受け、カルト化した政党の〇〇管理部トップは、党員・支持者に対してSNSでこう呼びかけました。

a. 投稿内容に事実及び根拠がない

b. 本人の勘違い思い込みに基づくもの

c .本人がそれ(勘違い思い込み)を認識 していながら投稿したのが事実

d .目的は信用の失墜と分断工作が目的だと思われる

e .離党を促す文面を送られた事実がある

f. 現在も情報収集及び分析をしている

g .(情報収集、分析に)もう少し時間が掛かる

〇〇管理部トップの投稿は下記の点で問題があります。

①事実確認前なのに断定するという矛盾・・・a、c、h
まだ調査中にもかかわらず、事実や根拠がないと断定しています。
また、投稿で述べられている内容が多岐にわたるにもかかわらず、何が事実でないのか示されていません。政党、党員を肯定している部分も事実ではないというのでしょうか?

②思い込みとする証拠がない・・・・・・・・b
本人の「思い込み」と決めつけていますが、それを裏付ける具体的な証拠が示されていません。

③分断工作の動機が不明確・・・・・・・・・d
分断工作が目的だと主張していますが、その根拠も動機も全く説明がありません。

④感情的な表現で議論を歪める・・・・・・・d
「信用失墜」「分断工作」といった刺激的で煽情的言葉を使って、冷静で論理的議論を妨げています。

⑤具体的な証拠の提示がない・・・・・・・・a、c、e、h
断定的な主張をしていますが、具体的な証拠は全く示されていません。

⑥投稿した離党者の意図を推測で判断・・・・d
SNS投稿の動機について、推測にもかかわらず断定的に否定的な判断をしています。

⑦透明性と公平性が欠如している・・・・・・e、f、g
党内部での対応の説明が漠然としていて、透明性や公平性が感じられず、信頼性に欠けます。

こうした論法は議論や論法の誤り(誤謬)として知られている要素を含んでいると考えられます。

5.まとめ

全体としては下記のような流れと推定され、ここにはカルト化した政党の深刻な問題点が現れているとみられます。

  • 「批判や異論が許されない」という教義に従った〇〇管理部トップが、
  • 「内部での自由な討論をさせない」ようにするため、
  • 「不正行為が見過ごされる」ように論点を変え、
  • 「都合の良い情報だけが流す」ことによって、
  • 「党員が誤った情報を信じ込む」ように誘導し、
  • 「外部の批判や干渉にあたる投稿をした元候補者を「敵」とみなす」ように仕向け
  • 「党内での自由な討論が起こらないようにする」とともに、
  • 「反対勢力や内部の異論者を抑え込む」ための動きをした。

次回、さらに考察を進めてみたいと思います。